ベル姫様と溺愛ナイト様

「……レイ、一人買い出しに行かせてしまったメロゥには悪いけど、お城の中に入りましょうか。
わたしには何も出来ないし、ここで2人立ち尽くしていても仕方ないものね?」

ベルは、力なく涙を拭い、それでも今できるだけの精一杯の笑顔を浮かべて後ろの彼ににそう言うと、共に城の門をくぐった。

白い大広間の白いソファーに腰をかけて、暫く物思いにふける。

「わたしが、やらなくちゃ……、いけないんだよね……」

思いつめた彼女の横顔に、レイは自問自答する。

彼女を女王にしなければ、彼女は力に潰されて消滅してしまう……。
それは絶対に嫌だ!

だけれども、彼女の本心はジェミロと姉妹として、ディティールの町娘として生きたいのだ。