ベル姫様と溺愛ナイト様

レイは、静かに泣き出してしまった自分の胸に身を預ける彼女を、さっきより弱めた優しい力で抱き寄せた。
もう腕の中から飛び出そうとはしないだろう。
彼女の本気を感じた。

彼女は記憶がかけていて、現実を受け入れられないほどの状況で、自分はただの町娘だと思っていた生活がこれから一変する、

不安じゃないわけがない。でも、頑張ると言った。
国を創ると。しかも女王だ。

もし自分がその立場だったら、どうしていただろうか……? 

今のベルより、混乱していたかも知れない……。
考えても分からない葛藤があるのだろうと、想像がつく。
だからこそ、レイもメロゥも出来るだけベルに寄り添っていた。