「それにしても、神秘の国だからってそんなに簡単に土地を開け放すものか?
だって、その……」

もうないし、知ってる人も少ないんだろ?
と言いかけたジェミロは、隣のベルを想い、言葉を濁した。

そんなジェミロの態度に気がついたメロゥが苦笑いを浮かべ、大丈夫だから、と目で合図を送る。

「友好国だったんだってさ。ここの国王はよく覚えていた。
しかも昔、神秘の力で助けてもらったことがあるから、とか言ってなかったっけ?」

「言ってた気がするわー。
ベルとも外交で会ったことがあるらしいぞ?」

2人の言葉にベルは首を傾げた。
記憶がない以前に、小さすぎて忘れているのかも知れない。

「まぁじゃあ、すべてがすべて、良い方向に向かっている、と言うことなんですね」

シュシュはなにやら納得したようだ。