がははと笑う豪快な親父の差し出したごつごつとした手を借りて、青年は立ち上がった。
くしゃくしゃな顔を更にくしゃくしゃにして、笑う。

「ああ、ああ、そうするよ。
ありがとうなっ……!」

「だから、そんな締まらねぇ顔すんなって言ってる側からお前さんは!」

笑いながら強く肩を叩かれた青年は、苦笑いを浮かべながら礼を述べた。
そして、足早に一直線に歩いて行った。

あの人、とってもいいことがあったんだね、と、
遠巻きに見ていた町人や声をかけた町人が会話しながらその場を離れる。

青年に何があったのか、そんなにまっすぐに何を目指しているのか少しだけ気にかけながら。