「ベル、今はこっちを見て」

じっとカウンターを眺めているベルに、正面から声がかかる。

今は彼らの話の内容を聞かなくて良い、気にしなくて良い。
まだ何も心配しなくて良い。
これから沢山の試練があるはずだから、せめて、今だけでも。

「あ、わたしの番だもんね」

「……違うとは言わないけど」

姉妹揃って鈍感。
レイはふっと笑って、ベルがカードを選んでいる顔を見つめる。

「ベル、ずっとこっちを見ててな。
ずっと俺と一緒だからな? 何も心配するなよ」

「え? うん?」

カードから顔を上げてこちらを不思議そうに見つめるベルに、笑が溢れるレイ。