レイがうんうんうなりだした。
確か以前、聞いたのだ。
この常連の名前。
ベル以外に興味のなレイとしては、記憶として薄い存在だったから思い出すのに時間がかかったけど。

だけど、店の常連だし、今日こうやって会っている。
名前くらい思い出さないと。

「あ、思い出した。
シュシュだ! 物書きのシュシュ!」

記憶を絞り出してすっきりした顔のレイと、困り顔のメロゥとシュシュ。

「えーと、名前を思い出してくれたのは光栄なんだけど、どうして僕がジェミロをって思ったんだい……?」

「丸分かり」

どうしてバレてないと思ってるのか不思議だ。
レイは笑っている。

「いきなり男が住みだして、心配なんですね?
でも俺達、そう言うんじゃないですから」