「姫……。
姫の大切なお方に、失礼を致しました。
姫がそこまでおっしゃるのなら、もうこの方を無下には致しません」

「だから、わたしはっ、貴方の姫じゃないの!
もう、もうやめて頂戴っ……」

少女は彼の許しを乞う視線から、目をそらせた。

「姫……」

大通りのど真ん中で座り込む女性。
その女性に寄り添いながら、うつむいて涙を堪える少女。
少女の前に片膝をついて頭垂れる青年。

少し目立つどころか、まるで見世物のように、すっかり周囲を人々に囲まれていた。
人々は、何が起こっているのかわからないながらも、どうなるのかとハラハラと見守っているようだった。

「はぁ……」

女が一つ、盛大にため息をついた。

「こんなんしててもラチがあかねぇっての!」