「おねぇに何するのよっ!
わたしは貴方の姫じゃないっ!!
こんな形でおねぇが死んだら、わたしも死ぬんだからぁっ!」

少女は、座り込んで女店主に擦り寄って、青年を涙いっぱいの瞳で睨みつけた。

おねぇ……っ!

小ぶりな口元から、姉を案じる声がとめどなく流れ出る。

「おねぇ、おねぇ、大丈夫……?」

「あたしは大丈夫だ。
ベル、お前こそ、平気か……?」

涙を堪えられなくなったのか、うぐうぐと嗚咽を漏らしながら女店主にすがりつく少女。

女店主は、優しく少女の頭を撫でた。

先程までの怒りはどこへやら、青年は済まなそうに小さくなり、自らも地に膝をつけた。