ああ、あたし、今ここで死ぬんだ……。

こいつ、よくわかんない変な奴だけど強そうだしな。
妹に変なことしなきゃいいな。
妹のお嫁に行く姿を見たかったな、綺麗なんだろうな……。
嫁入りまでしっかり見届けたかった……。

ジェミロが観念して瞳を閉じたのと、青年が剣を振り上げたのは同時だった。

「やめてっっ!!
レイっっっ!!!」

女店主の首元、寸でのところで剣が止まった。

あと少しでも少女の声が遅れていたのなら、あと少しでも女店主が動いていなのたら、確実にジェミロの首ははねられていただろう。

驚いた表情を浮かべながら、青年は剣を収める。
女店主は、死に直面したあまりの恐怖に腰を落とし、立ち上がれないようだった。