今まで接してきた少年のどんな状況でも見たことがなかった顔。
一瞬背筋が冷えた。
まだ10代の少年に気迫で負けたのだと思うと驚いた。
端正な顔立ちである少年。
大きく、それでいて切れ長な瞳は青く澄んでいる。
流れるような漆黒な髪は、風に遊ばれ揺らめいている。
少年が静かに自らの剣を構えたとき、はっとした。
彼は強い、とマンヌが長年戦ってきて、戦神とまで呼ばれた戦士の勘が、ざわめいている。
しかし、まだこの少年は自分の能力に気付いていない。
彼がそれに気付いたとき、今より更に強くなる。
だが、そのときはまだだ。
まだ自分が勝っているが、いつか自分よりもはるかに強くなるだろうと、感じていた。

