目を閉じたマンヌをアースは横目で見やり、これ以上詮索されないことを確認して、いつもの少年らしい笑みを浮かべた。




「それよりさ、頼みたいことがあるんだよ」


「頼みたいこと？」


「うん、あのさ、授業で剣術の授業があるって言っただろう？それでさ、何故か今年は生徒の実力を知るために校内で剣術大会があるらしいんだ！」


「ほーう、それはそれは、学校はなかなか面白い思いつきをしたものだな。」


「だろう？こんな面白い企画、思いっきり楽しまなきゃ損ってこと！それでさ、俺に剣術教えてよ！」


「学校でちゃんと習っているのだろう？なのに何故わざわざ儂みたいな老いぼれに習おうとする？」


「マンヌじいさんは老いぼれなんかじゃないよ！！俺、ここに遊びに来るようになって思ったんだけど、マンヌじいさんみたいに機敏に動ける人、若い人の中にもなかなかいないって！」
なかなか嬉しいこと言ってけれるのぅ、とアースの言葉に呟くようにして答える。


「俺、やるからには大会で勝ち進みたいし、授業は低能すぎて受けてても意味ないんだよ、小さいときから習ってるしね」
ウインクしながら笑顔で言うアース。


「それに、マンヌじいさん昔は天帝の親衛隊隊長だったんだろ？剣の腕は確かなはずだよ？」

少年の言葉にマンヌは目を見開く。


隊長の座を引退してからというもの、誰にもそのことは話すことがなかったし、すぐにこちらに移り住んだから、誰も知らないはずだった。