暗闇の果てに



「おっはよ〜う!」

いつもの見慣れた道を歩いていると、思いっきり背中を叩かれ、前のめりになる。

「つぅ〜〜〜………」


「あはははは!ごめん、ごめん。やりすぎちまった」
アースが痛さに悶えていると、やたらにどでかい声が辺りに響き渡る。


「………うるさい。デイシス」

「うるさいとはなんだよ!」

アースは思いっきり顔を顰めてみせるデイシスを睨み付ける。


「お前のその目!めちゃくちゃ怖いって!」

「…………おはよう」

ぽつりと呟いた言葉を聞いたとたんデイシスは笑いだした。


「ふつう、このタイミングで挨拶するかよ?」

「いや、そういえば挨拶返してなかったな、って思ってさ」

「………アースってなんかずれてるとこないか?」

「……なんのことだ?」






「お前かわいいな………」
少し首を傾げて聞いてきたアースは、顔が整っており、大きく澄み渡った空色の瞳に長くカールした睫毛、白い肌に少し長めの真っ黒で艶やかな髪を風になびかせている。

周りの女子がほおっておくはずがない顔立ちをしている。



しかし、その顔もデイシスの一言によって崩れた。


「は!?きもい!これからは俺の半径3メートル以内に近づくな!」

「なんだよ!冗談だって〜照れるなよ!」

その時、デイシスはアースによって繰り出された重い蹴りを受けたのは、仕方のないことである。



「いってぇぇぇ!何するって……おい!俺を置いてくなよっ」

いつの間にかスタスタと前へ進んでいたアースに怒鳴りながらも追い掛ける。