敦くんの家は、この喫茶店の上にある、アパートの一室だった。 「お父さんは?」 「いねえ。」 「お母さんは?」 「いねえ。」 「じゃあ、保護者の方は?」 敦くんは、間を置いた。 「下の店のマスターが時々、顔出してくれる。」 「親戚か何かなの?」 敦くんは、何も言わずに、玄関を開け、私を部屋へと招いた。