僕は驚きを隠せなかった。
僕の知っている彼は、喧嘩っ早くて、汚い言葉を使う不良少年。
しかし、そのしゃがれた声から発せられる言葉は、どこか深みがあって、コーヒーを思わせる。
だから、あの屈辱を味わった日、僕は彼がカンニングでもしたんじゃないかと疑っていたが、全く見当違いだったことに気付いた。
彼はやれば出来るのだ。ただ、やらないだけで、やれば出来る、天才。
それと同時に、努力を知らない可哀想な人間なんだと思った。
妬みと慈悲とが重なった「可哀想」。それと同時に、僕は彼のことが好きになった。
友達になりたいと思った。



