そんな僕にも好きな人くらいはいた。 彼女は、日本人の父と、フランス人の母の間に生まれたハーフで、ブロンドの髪に、青い目をした綺麗で可憐なお嬢様のような少女だった。 彼女が北條すみれだ。 僕は一目で彼女に惚れ込んだ。まるで、フィツ・ジェラルドの小説、「グレート・ギャツビー」に出てくるデイズィーを思わせた。 彼女がディズィーなら、僕はギャツビーだ。 彼女と僕との間には、イーストエッグとウェストエッグほどの距離があって、とても近づけるような身分じゃなかった。