「単純。単純さ。ミスだよ、凡ミス。チンチロで言えば、ションベンと同じだ。」



「ションベン?」



「丼からサイが飛び出ることだ。ンなことはどうでもいい。ミスった。迂闊だった。いや、違う。オレは間違ってない。向こうが慎重すぎたか、偶然か、運命か。」



話が一向に見えてこない。



「一体何をミスしたの? まさか、私が今朝、教卓の下に隠れなかったから?」



「ああ、それもある。」敦くんははっきり言った後、頭を振った。



「いや、違う違う。寧ろ逆だ。香澄さん。アンタが隠れてたらウルトラミスだ。」



「隠れなくて正解だって言うの?」



「そうとも言い切れねえ。」



やっぱり話が一向に見えてこない。