日差しは強さを増して容赦なく俺を刺す。
コンクリートは太陽に焼かれ、ギラギラとひかる
眩しい。
目を細めながら死に場所へ歩く。
飛ぶ位置は決めている。
校庭の近くにある、美しい花壇の前へ飛ぼうと思っていた。
下を覗くと花は気持ちよさそうに全身で日光を受け止めていた。
今の時期、向日葵や桔梗、マリーゴールドやパンジーなどの色とりどりの花が花壇を鮮やかにしている。
花壇の真上まで来て鉄柵を握る。
ちょうどそこは日陰になっていて風もいくらか涼しい。
鉄柵はひんやりと冷たかった。
俺の胸くらいまである鉄柵は、高校生男子にとってそれは軽々と飛び越えられた。
ふわり、と軽くカッコをつけて飛び越える。
身体は宙に浮きワイシャツが揺れる
最期くらいある程度カッコよくいたいと、無意識に思っていたのかもしれないなと、俺は思った。
───いや、思うほどの心はないんだけど。
そう。
俺は心が無い、
………と、思う。
“無い”という表現は間違っているかもしれない。
“カラになった”という方が正解かもしれない。
