「高校かあ〜」
「高校入って最初のセリフがそれ?もっとこうさ、クラス発表緊張する〜っとか、あの人かっこいい〜っとかないの?」
中学からの友達の坂井由奈(さかいゆな)にそう突っ込まれた。
確かにそうだよね。
華のJKってやつなんだから、これからの生活に希望を持つのが普通なはずだよ。
「でも秋のいない学校生活なんてつまらないも同然だもん」
そう言うと由奈はやれやれと呆れたようにため息をついた。
「美晴、もう秋くんはいないんだからね!新しい恋しなきゃ!」
「そういわれても...」
秋以外の人に恋なんて考えられないんだよなあ。
「はいはい。あ、あの人なんてどう?ほら!」
由奈が指さした先には、ハーフっぽい顔立ちの、王子様のような男子生徒がいた。
ネクタイの色が赤で同じだから、彼も同じ新入生だろう。
「確かにかっこいいけど...」
周りには女の子がたくさんいる。
いかにも自分がモテてることがわかってるみたいな感じ。
ちょっと苦手かも。
「ええ〜っあんなイケメンなのに!もったいないよ。美晴、顔は可愛いんだから頑張れば行けるよ!」
由奈の指摘は気に止めなかった。
私は私のペースで少しずつ秋のこと忘れていけばいい。
忘れるのは無理かもしれないけどね。
ふと、ハーフ顔のイケメン君と目が合った気がしたけど、すぐにそらした。
仲良くはなれないだろうなっていう印象だけ残して。