Drinking Dance

その質問に星崎さんは目を伏せると、
「たぶん、どこであったとしてもできなかったと思います…」

白状するように答えた。

その答えに、心の底からホッと胸をなで下ろしている自分がいた。

よかった、“できた”と言われたらどうしようかと思ってた。

恋愛初心者の星崎さんにそんなハードなことができる訳がないと思ったけど、できる人じゃなくて本当によかった。

「じゃあ、次の恋愛指南はハグをすることにしませんか?」

私はそんな提案を出した。

「は、ハグですか?」

星崎さんは訳がわからないと言った様子で聞き返した。

「いつ石原さんにハグされてもいいように、星崎さんもハグの練習をするんです。

そしたら、簡単に抱きしめ返すことができますでしょう?」

そう言った私に、
「なるほど…」

星崎さんは呟いた後、納得したと言うように首を縦に振った。