Drinking Dance

「ハグ、か…」

星崎さんはふうっと息を吐いた。

「35年間の人生の中で女性からハグしてもらったことは1度もなかったんですよね…。

ああ、子供の頃はどうだったかわかりませんよ?

もしかしたら母親がしてくれたのかも知れないです」

母親もハグのカウントに入るかどうかも怪しいけれども…。

「それでどうだったんですか?

女性にハグしてもらった感想は」

そう質問した後、コクリとコーヒーを口に含んだ。

「そうですね…。

35年と言う名の長い時間が埋まった…と言うところですかね」

星崎さんはしみじみとした様子で答えてくれた。