絶対にないと思っていた。

私の方こそ、星崎さんに抱いているこの気持ちを墓場へ持って行こうとしていた。

「森脇直子さん、僕はあなたがいいんです。

あなたが好きだと、言っているんです」

これは、私の都合のいい勘違い?

それとも、夢を見ているの?

…ううん、違う。

これは勘違いでもなければ、夢でもない。

全て本当の出来事なんだ。

「その気持ちに答えていいですか?」

そう言った私に、
「どうぞ」

星崎さんが言った。

「私も稔さんが好きです。

上司としてではなく、男としてあなたが好きです」

私が笑顔で返事をしたら星崎さんは嬉しそうに笑ってくれた。