「勉強だと思って受け止めて、次へと考えてる稔さんがうらやましいです」

私はそう言うと、グラスに口をつけた。

グラスをテーブルのうえに置くと、それを見つめた。

「…本当のことを言うと上司に、それもえらそうにこんなことを言える立場じゃないんですよね。

えらそうに恋愛指南なんかしてるけど…私、胸を張って言えるほど恋愛経験が豊富じゃないんですよ」

そこまで話すと、チラリと星崎さんに視線を向けた。

「続けてください」

星崎さんに言われたので話を続けることにした。

「稔さんも知っていると思いますけれど、父親は大学教授で母親はマナー講師と言う家庭で生まれました」

そこで話を区切ると、深呼吸をした。