星崎さんは石原さんに視線を向けると、
「あなたとはもう別れます」
と、言った。

「えっ、ちょっと…」

突然のように別れを告げられた石原さんは戸惑った。

「あなたとの交際は、とてもいい勉強になりました。

これからは人前で恥ずかしい思いをしなくて済みます。

堂々と、女性と交際をしたことがあると言えます」

「はあ?

何を訳がわからないことを言っているのよ」

「僕はあなたと別れる、今日であなたの恋人を辞めると言っているんです。

あなたも今日で僕の恋人を辞めてください」

星崎さんはそう言うと、カバンを手に持った。

「直子さん、行きましょう」

「えっ…ああ、はい」

星崎さんに促され、私もカバンを手に持った。