「あっ‥‥‥」

臼井は軽く声をあげる。


しばらく黙ってやがて口を開いた。


「近藤‥‥ごめん、俺、藤崎が好きだから‥‥」


「あっ‥‥あぁ、知って‥‥‥」


知ってる。分かってた、そんなの。


でも、少し優しくされただけで


もしかしたらって期待してた。


「馬鹿みたい‥そうだよね」


沙也加は気まずそうにこっちを見ている。


でも、それが今は皮肉げに笑みを吊り上げている


ようにしか見えない。


「やっぱりさ、いつも沙也加はそうだよね。」


私はそれだけを吐き捨てると屋上を後にした。