《ねむside》

「さーや!今日一緒に帰ろ?」


沙也加は、親友のねがいを断れない子


だから、おっけーと、言うだろう。


「ごめん…ね…今日は無理…」


「うっわー、嘘つきじゃん。
断れないんじゃないの?親友の願いも
無理なんだ~」


いつもならここで自分の感情を歪め


抑えながら、いいよと


愛想笑いをつくる。


「ごめん、無理」


いつも以上に低くはっきりとした


声できっぱりと断られた。
 

「あー、臼井関係?しょうがないね?
 男好きだもんね?」


私は、軽く顔を歪めながら聞いた。


うん、と笑う沙也加は可愛かった。


ねぇ、沙也加。


いつしかターゲットは変わってしまった。


私の、沙也加をとる臼井に。