3度目のFirst Kiss

準備がひと段落した頃には6時になっていた。
そろそろ、リーダー達がここに集まってくる時間だ。
一旦、ここで、設営担当も含めて、リーダー達と全体ミーティングをすることになっている。

それぞれが気付いた事の修正やクライアントの要望がによっては、ブースやパネルの位置、今日の夜に搬入される予定のバイクなどの大型展示物の設置位置などの変更も起こり得る。

今頃、それを生田君がクライアントに会場を案内しながら、打合せをしているはずだ。

要はクライアント次第で、皆んなの今日の仕事が何時に終わるが決まるのだ。

各リーダー達には、今日は近くのビジネスホテルに宿泊してもらう予定になっている。

皆が各エリアから集まり始め、後は生田君を待つのみだ。
今回は男性リーダーも多く、モータースポーツの展示会だなぁと思う。
通常の展示会は、圧倒的に女性スタッフの方が多い。

皆がそれぞれ休憩をしながら雑談をしていると、
生田君が走って部屋に入って来た。

一斉に生田君に視線が集まる。
それは、生田君の話次第でこの後のスケジュールが
決まるからだ。

「皆さん、お待たせしました。多少の変更はあるものの、クライアントさんには概ね満足してもらえました。皆さんのおかげです。ありがとうございます。なので、今日はゆっくり過ごして、明日に備えてください。変更事項は、明日の朝、改めてお伝えしますので。では、お疲れ様でした!」

これで、リータ達は解散できる。

「やった!これで飲みに行けるなぁ。ホテルの近くに居酒屋とかあったっけ?」

「たこ焼き食べよ。せっかくの大阪やし。」

仕事中は標準語を使うのが基本ななっているけど、こういう時は、皆んな、関西弁が自然に出てくるんだろう。

私はここで初めて、大阪に来ている実感がした。
会場の中で仕事をしていると、結局、各地の雰囲気を楽しむ余裕なんて滅多にないことだから。

リーダー達が荷物を纏めて、それぞれ帰って行く。

「お疲れ様です。明日からよろしくお願いします。」

皆の背中を見送ると、私達3人だけになり、賑やか
だった部屋が急に静かになる。