コンビニを出ると、待ち合わせ場所には生田君の姿があって、川口さんと楽しそうに話をしていた。

「広瀬先輩、ありがとうございます。」
「広瀬さん、おはようございます。今日は、無理言って、すみません。ありがとうございました。」

別に悪口を言われていた訳ではないのは分かっている。
それでも、おにぎりと飲み物が入った袋をぶら下げている私に、2人が同時に頭を下げ、お礼を言われると、
2人との歳の差や先輩とての距離を感じ、会社だと感じない違和感を覚えてしまう。

やっぱり、太陽の光は残酷だ。


ホームには、既に乗る予定の車両が入っていたので、私達はそれに乗り込んだ。

チケットを見ると、私の席は窓側のE席になっている。
生田君は、私の前のD席、川口さんはその隣のE席だった。

これは、昨日、川口さんから渡されたチケットだ。
私は荷物を棚に上げ、自分の席に座る。

川口さんは、これから2時間半、生田君との時間を思ってか、瞳を輝かせている。

その時、生田君が予期せぬ提案をした。

「ごめん、川口さん。広瀬さんと席を変わってくれないかな。できれば、到着までに現地での流れを打合せしときたいんだ。」

「えっ。」
「えっ。」

思わず、私と川口さんの声が重なる。