3度目のFirst Kiss

私は、3年前に卵巣嚢腫と子宮内膜症の診断を受けた。
若い頃から、生理の時は辛かったし、健康診断の度に、医者に通院を勧められていたけど、忙しさにかまけて、病院へ行くことが、伸ばし伸ばしになっていた。

でも、3年前に貧血も酷くなり、仕事を休まないといけない程になってしまい、遂に病院へ行った。

その時には、もう私の卵巣は腫れ上がり、手術をするしかなかった。
幸い、腹腔鏡での手術で済み、入院も合わせて、二週間ほどの休みを貰って、会社にも復帰できた。

ただ、医者に告げられたのは、継続的な内膜症の治療と、普通より妊娠がしにくくなることだった。

当時、結婚を考えていた彼にそれを告げると、遠回しに、子供が欲しいこと、彼の母親が孫を待ち望んでること、自分は田舎の長男だから周りは跡取りに厳しいことを伝えられた。

もちろん、これは可能性の問題であって、妊娠しない訳ではないと言ってみたものの、それから、段々と二人の距離は離れて行った。

私は、それを強く繋ぎ止める勇気も持てなかった。
辛い時に、寄り添うのではなく、突き放されてしまった様な気がしたから。

付き合ってきた3年という時間で私は彼の何を見てきたんだろう。

今となれば、同じ病気でも妊娠してる人、治療を頑張っている人が沢山いる事も知っている。

ただ、1度は結婚まで考えた男性に、そういう別れ方をされてしまったら、次の恋愛なんてもう無理なんじゃないかと思ってしまう臆病な自分が、今でも自分の中から消えないでいる。

当時、奈緒子は、私の話を聞いて、私以上に憤慨してくれた。

「男はそんなのばっかりじゃないよ。そんな奴は、こっちから願い下げですよ!彩華先輩は、可愛いから、もっと素敵な男性が現れますよ。私が保証します。」

それから、彼女は、何人かの男性を紹介もしてくれたけど、乗り気になれず、結局、上手くいかなかった。