3度目のFirst Kiss

「あっ、すみません。色々とお世話をして頂いたのに、ちゃんとお礼も言わずに、大変、失礼しました。」

矢沢さんは、相変わらず、額に大粒の汗を掻いていて、
私は、可笑しくなって笑ってしまった。

「大丈夫ですよ。二人のイチャイチャを見せ付けられて、羨ましくなっちゃったけど。それに、いつも紳士な矢沢さんの焦ってる姿も見れたし、今日は、得した気分です。」

「いや、お恥ずかしいところを・・・。とにかく、
奈緒子が迷惑かけてすみませんでした。お世話して頂いて、本当にありがとうございます。僕に連絡を
頂いたのも、すごく助かりました。」

「先輩、私、イチャ付いてなんていませんから。
裕樹が大袈裟なだけですよ、ほんとに!」

奈緒子は、そう言いながらも矢沢さんが来て、すっかり安心した様子だ。
これで、私も安心して、家に帰れる。

「あの、矢沢さん。奈緒子を、明日は必ず、休ませてくださいね。もし、熱が続くようなら、病院にも連れて行ってあげて下さい。」

「はい、僕はちょうど明日、代休だったので、明日は1日、奈緒子を見張っておきます。」

「見張りなんてやめてよ。熱なんてもう下がってるから、何なら、裕樹も帰っていいのよ。」

「さっき測った37度も立派な熱よ。お願いだから、大人しくしててよね。」

私がタダっ子を宥めるように言うと、矢沢さんは優しく微笑んでいた。