全て干し終わるともう1度下にいる聡次郎さんを見て部屋の中に戻った。
クローゼットから着ていく服を選ぶ。仕事の日は制服で出勤してしまうことも多いからデートに着ていけそうな服が少ないことに気がついた。
私、女としてどうなんだろう……。
生活するだけで精一杯で、彼氏もいなくて可愛い服も持っていない。今日の苦行を乗り切ったら新しい服を買いに行こう。
手持ちの中から何とか服を選び、化粧をすると髪を整えた。玄関の鍵を閉めると小さく「よし!」と呟いて気合を入れた。
「お待たせしました」
聡次郎さんの元へ行くと再び私の全身を見られた。
「さっきよりはだいぶマシ」
その言葉に気合を入れた心が早速折れかかる。さっきまでの部屋着でノーメイクのボサボサ髪よりは今の姿はかなりまともだ。けれど聡次郎さんの言葉は褒めているようには聞こえないどころかバカにされているようにさえ受け取れた。
「乗れよ。ちゃんと助手席にな」
聡次郎さんは先に運転席に乗り込んだ。私はのろのろと助手席のドアを開けて乗った。
「どこに行くんですか?」
「いろいろ」
具体的な場所を言ってくれない聡次郎さんは何を考えているのかさっぱりわからない。私に一緒に行ってほしいところとはどこなのだ。
「月島さんもお休みですか?」
「いや、あいつは仕事。なんで?」
「私なんかよりも月島さんに付き合ってもらえばいいのにと思って」



