「でも、奥様は私たちのことを反対してる」

「俺を信じろ。何度だって言ってやる。俺が望むのは梨香なんだ」

迷い続ける私に聡次郎さんはどこまでも強く思いをぶつけてくれる。

「契約を持ちかけたのが梨香でよかった」

そう、全ては人違いから始まった。でも今は私も間違えられてよかったと思っている。

「嬉しい……」

聡次郎さんの気持ちが。聡次郎さんの言葉が。

「嬉しいか?」

頷く私を聡次郎さんは抱きしめる。

「なら言ってよ。俺が好きだって」

「どうして?」と問うと聡次郎さんは私を強く抱きしめた。

「梨香から好きだって1度も言われたことがない」

「嘘だ。言ったよ」

「はっきり言われたことはないよ。だから俺は自信が持てない。いつまでも不安になる」

好きだと言ったことはあった気がしたのに、聡次郎さんには伝わっていない。私の態度にこの人も一喜一憂していたのだとしたら一層愛しく思える。

「聡次郎さんが好きです」

私を抱きしめる愛しい人の耳元で囁いた。

「他の誰よりも。聡次郎さんだけが大好きです」

そう言った瞬間唇を奪われた。角度を変えて何度も離れてはまた触れる。主導権は聡次郎さんに、けれど決して強引じゃない。
深く重なった唇を舌がこじ開け口の中に侵入する。すると聡次郎さんの腕が私の体をベッドに押し倒した。

「聡次郎さん! だめです!」