春。桜の吹雪が舞い散る中、聖桜学園の入学式は厳かな講堂で行われていた。

聖桜学園はまさに文武両道。芸能コースの音楽科は世界でも認められるプロ達が在籍し、運動コースのバスケ部はインターハイ、ウィンターカップでの5年連続の優勝を誇る。進学コースは毎年、日本の3大大学、東京大学・京都大学・神戸大学の進学率が国内1高い。


そんな学園の校舎はヨーロッパのようなレトロな外観を含め、皆が憧れる学校である。

講堂には、グランドピアノがペルシャ絨毯の上に置かれており、音楽科の教師の柔らかな旋律と共に校歌を歌う。



新入生代表として挨拶を述べた、山岸千咲は、春の冷たい空気を吸い込んだ。


ホームルームが始まる。小走りで教室に戻ると、中等部からの親友・杉山彩嶺に

『おー、千咲ーかっこよかったよ。あと、もうすぐホームルーム始まるよ。』


と、言われるとクラスの視線が集まった。