「帰り、図書室で勉強する?」

「萌花が教えてくれるの!?」

「うん」

「だったらするー」

いや、しないと困るよ?
テストの点、ほんとやばかったもん。

上機嫌になった葵ちゃんと図書室に向かう途中で、杉本先生に会った。

「おー、帰りかー?」

「図書室で、勉強して帰ります」

笑った杉本先生の目尻が下がる。
優しいその笑顔がきっと、女子に人気なんだろうな。

「ああ、大塚の試験勉強か。
あの点数は酷かったもんな。
あのままだったら赤点確実」

「うっせー、ハゲ!」

「……ハゲって俺、ハゲてねーもん」