……中学校の時。
やっぱり林間学校で登山して。
途中で具合が悪くなって、登山中止どころか、家にまで帰る羽目になった。

先生が気にしてるのは、たぶんそれ。

「なら、いいけどな。
今日は夜更かししないで早く寝ろよ?」

「……はい」

杉本先生は離れると、私の顔を見てにやりと笑った。

「それとおまえ、何度も云うけど隙ありすぎ。
男からこんなことされたら、もっと抵抗するとか悲鳴あげるとかしろ」

「いたっ」

デコピンされて、思わず先生を睨んでしまう。

……だって。
先生からああいうことされるのは嫌じゃないし。
それになんとなく、先生は本気じゃないって気がするから。
だから。

……結局。
早く寝ろって云われたのに、いつまでたっても心臓が落ち着かなくて。
眠りについたのはかなり遅かった。