……いつ、そんなこと決まったんですか?

「そろそろ泣きやんで、宮野」

ちゅっ。

今度はおでこにふれた柔らかいものに驚いて、一瞬で涙が止まる。
おそるおそる見上げると、視線のあった、レンズの向こうの目が優しく笑った。

「泣きやんだね。
じゃあ、帰ろうか」

「……うん」

明石くんの指が、涙を拭ってくれる。
そういう優しい顔にどきどきする。

……結局、駅に着くまでずっと無言だった。