いくら私が急ごうと、私より背の高い明石くんが追いつくのは容易なわけで。

「あの、えっと。でも」

「それとも、大塚が待ってるの?」

「……ううん」

葵ちゃんに先に帰ってもらったことを後悔。
迷惑かけても、待っててもらえばよかった。

「じゃあ、一緒に帰ろうよ。
駅まで送るから」

「でも、遠回りになるから」

「このあいだ、家まで送ってもらっただろ?だから」

……あれは。
雨が降ってたからで。
明石くんが傘を持ってなかったからで。
今日は晴れてるわけで。

「ダメ、かな?」

私を窺う、まるで怒られたわんこのような顔に。
私は。

「……いいよ」

……明石くんと一緒に、帰ることになってしまった。