まあそう、だよね。
背も高くて筋肉隆々で、しかも程良くこんがり焼けてる男がそんなことしてるんだもん。

「心配したんだぞ?
熱が出たとか連絡もらって。
早く家に帰ろうな」

「いいから。
お、降ろして!
お兄ちゃん!!」

「ダメだぞ、病人を歩かせるわけにはいかないからなー」

抱き抱えられた腕の中で暴れたって、お兄ちゃんはまったく気にする様子がない。
というかかえって、手の掛かる妹だな、って喜んでる気がする。

「宮野先輩!また今度!」

「ああ、宮野。
お大事にな……」

元気にぶんぶん手を振ってる葵ちゃんと、対照的に動揺したままの杉本先生を残し、私は学校をあとにした。