学校で廊下を歩いていると、……向こうから明石くん。

……無理。
まだ無理。

そのまま用もないのにトイレに入り、ため息。

……どんな顔して会えばいいんですか?
 
入ったついでに、用はなかったけど用事を済ませて出る。
出口で一応、周囲を確認して……いませんね。

「ねえ。
僕のこと、避けてない?」

「はいっ!?」

……後ろからかけられた声に、飛び上がることになりました。

そもそもあれだよ?

昨日、明石くんからキス迫られて。
「もうすぐ彼女になる人」?

もう、どうやって帰ったのか覚えてないくらい、あたまはパニックで。

いまだってまだ、訳がわかってない。

「……さ、避けてない、デス」

しどろもどろに答える私に、明石くんはくすっと笑った。