心配そうな葵ちゃんに笑顔で返す。

……誰かいた気がするんだけど。
夢、だったのかな。

そっとおでこにふれてみると、夢の感触が思い出されて顔に熱が上がっていく。

「萌花?
やっぱりまだつらいんじゃないの?
顔、真っ赤だよ」

「……大丈夫。
大丈夫、だよ」

ちょっとだけ深呼吸を繰り返して。

……うん。
大丈夫。

養護の先生にお礼を云って保健室を出る。
下駄箱に向かう途中で、杉本先生に捕まった。

「おー、みやのー、だいじょーぶーかー?」

「……もう平気、です」