話してもらえなかった自分は、そんなに頼りなかったのかと悲しかったこと。
彼女の気持ちなんか知らずに、脳天気に笑ってた自分に吐き気がすること。

「宮野に会ったとき、あいつが生き返ったのかと思った」

「そんなに似てるんですか?」

「ああ。
おふくろも戸惑うくらい」

それで。
いつか、先生の実家にケーキを買いに行ったとき。

「今度は守るんだって決めた。
あんな思いは二度とごめんだ、って」

「……そうなんですね」

「でも宮野はあいつじゃない。
宮野をあいつの代わりにするなんて間違ってる」

泣きそうな先生の声。
何度この声を聞いたことだろう。

「ごめんな、宮野。
俺の勝手に付き合わせて」

また信号で車が止まる。
私は両手で先生の顔を挟むと、無理矢理私の方を向かせてじっと見つめた。