杉本先生と一緒に帰る……んだけど。
車は先生のアパートじゃなくて、私の家に向かってる。

「先生……?」

「家に帰れ、宮野」

それって、私のことが邪魔になったってことですか……?

悲しくなって俯くと、先生の左手が私のあたまをぽんぽんした。

「別に宮野がいるのが迷惑になったとかじゃない。
宮野が俺のところにいたいなら、いつまでだっていればいい。
でもおまえ、家に帰りたいって思ってるだろ?」

「……」

先生、知ってたんだ。
最近、私が家のこと、気にしてたの。

「なら、家に帰れ」

「……先生はいいんですか?」

知ってる。
先生がときどき、泣きそうになってたの。
あの部屋だって。

「先生はひとりで、大丈夫ですか?」