「萌花?」

回れ右したら、手を掴まれた。
おそるおそる振り返ると、葵ちゃんが困ったように笑ってた。

「私の方こそ、ごめんね。
萌花の気持ちなんて全然わかってなかった。
いっぱい傷つけたよね。
ほんとにごめん。
許してなんて云えないよね」

次第に鼻声になっていく葵ちゃんに、黙って首を横に振る。

「ううん。
私だって自分のことばっかりで、あ、大塚さんの気持ちなんて全然考えてなかった。
ごめんなさい」

「……いいよ、葵で」

涙が光る目で葵ちゃんが笑ってくれる。

「葵ちゃん。
これからも私と、友達でいてくれる?」

「もちろん」

葵ちゃんに抱きつかれて、涙があふれてくる。
葵ちゃんもわんわん泣いてた。
そんな私たちにみんなが注目してたけど、いっこうにかまわなかった。