「なんで?
どうしていけないの?
杉本先生だけが私のことわかってくれて、杉本先生だけが大事にしてくれて、杉本先生だけが守ってくれる。
みんな、みんな、みんな、私のこと、憐れむか、嫌悪するかじゃない!
葵ちゃんだって明石くんだって、私のこと、汚いものみたいな目で見て!
お兄ちゃんだって私の気持ち、わかってくれない!
みんな嫌い!
嫌い、嫌い、大っ嫌い!
みんな、みんな、いなくなっちゃえば……」

「……落ち着け、宮野」

私を抱きしめる腕に、聞こえる声にのろのろと視線を向ける。

「まだ学校は早かったな」

「先生……」

私たち以外音のない教室にも、紙のような顔で突っ立ってる葵ちゃんにもかまわずに、先生に抱きついた。