だから、私は先生のことが好きなふりをする。
先生もきっと、それはわかってる。

けれど先生が自分の傷から目を逸らすためには私が必要で、私は自分の傷から目を逸らすために先生が必要で。
傷を舐め合いながら、どこまでもぬるい関係に浸る。

たぶん、私が抱いて欲しいと頼めば、きっと先生は抱いてくれる。
先生が抱きたいと云えば、私は迷わず先生に抱かれる。

そこに愛だの恋だのいう感情はなくても。

こんな関係、間違ってるのはわかってる。

 
目が覚めてもまだ、先生は帰ってきてなかった。
時計はないから時間なんてわからない。

枕を抱きしめ直して丸くなる。

……早く帰ってきて先生。
嘘でいいから好きだって囁いて。
私も好きだって云うから。