「じゃあ、行ってくるな」

布団の中からもぞもぞと動いて顔を出すと、杉本先生は苦笑いしてた。

「私も学校、行った方がいいですか……?」

じーっと見上げると、先生はふっと唇を弛ませた。

「宮野は学校、行きたいか?」

ふるふると首を横に振ると、まるで子犬を撫でるみたいに、私のあたまをわしゃわしゃと撫でる。

「無理して行かなくていい。
腹が減ったらカップラーメンあるから食べろ。
じゃあ、行ってくる」

ちゅっ、私にキスすると、先生は部屋を出ていった。
ばたん、ドアが閉まると部屋の中はシーンと静まりかえり、一気に寒くなった気がしてまた布団に潜り込む。

ひとりで過ごす時間は嫌い。
誰もいない空間に押し潰されそうになる。

枕をぎゅっと抱くと、先生のにおいがした。

……先生、早く帰ってきて。

出て行ったばかりだというのに、そればかり考えていた。