結局、それからすぐにお兄ちゃんに迎えに来てもらった。
車の中でお兄ちゃんは無言。
きっと私がなにをしようとしていたか、聞いてるはずなのに。

誠おじさんの家に帰るのかと思ったら、車は自分の家に向かってる。
家に着くと、あんなにたくさんいた人たちはいなくなってた。
最近、大物アイドルグループがいきなり解散宣言をして、そっちに関心は移ったらしい。

「萌花」

両親は仕事に出てた。
リビングのソファーに座ると、お兄ちゃんにぎゅっと抱きしめられた。

「死ぬとか考えないでくれ。
兄ちゃんにできることならなんでもするから」

「……うん」

震えてる、お兄ちゃんの手。

「せっかく運良く助かった命なんだ。
他の子たちの分まで萌花は生きなきゃな」

急に、気持ちがすぅーと冷えた。
杉本先生とはまるで違う言葉。

「……お兄ちゃんは」