身体を起こすと、下に泣きそうな先生の顔が見えた。

「云うか、莫迦。
宮野がどれだけ苦しんでるか、見てるだけでもわかる。
そんな無神経なこと、云えない。
でも、……おまえに死なれたら俺、生きていけない」

「……先生?」

起きあがって私に抱きついてきた先生は、どこか必死だった。

「もう失うのは嫌なんだ。
宮野が生きてるってだけで俺も生きていける。
だから、頼むから、俺を助けると思って死なないでくれ」

「先生、どういう……?」

「すまん」

小さく聞こえる、先生の嗚咽。
どうしていいのかわからなくてじっとしてた。
グラウンドからはこんな私たちに不釣り合いなくらい、脳天気な音楽が聞こえてる。

「なあ、宮野。
……俺じゃ、だめか」

少しして聞こえた、鼻づまりの先生の声。
どういう意味、なんだろ。