「杉本先生」

「ん?どうした、宮野」

ドアを開けると、椅子を回転させてこっちを向き、杉本先生が笑った。
でも、どこかちょっと心配そう。

「あの、えっと。
……これ」

準備してきたクッキーの袋を差し出す。
受け取ってもらえるかな。

「なんだ、これ?」

不思議そうに杉本先生が私の手からクッキーの袋を持ち上げた。

「最近、心配かけてばっかりだからお礼っていうか。
先生んちのクッキーに比べたらあれですけど」

何度かクッキーの袋と私の顔を見比べてた先生だけど、意味がわかったのか嬉しそうに笑うと私のあたまを撫でてきた。

「サンキュ、宮野。
そんな気を使うことなかったのに。
教師の俺が生徒のおまえを心配することは当たり前だし、それに宮野は俺の宮野だからな」