……明石くんが、その、キス、したいとか迫ってきて。

……ん?
あのままだったら今度こそ、キス、してた?

「……ってさ。
聞いてる? 萌花?」

「……えっ、あっ、……うん」

両手で顔を挟んで、ぐりっと葵ちゃんの方に顔向けられ。
慌てて返事をすると、ちょっとため息つかれた。

「もう。
こんなぼーっとしてるから、あんな男なんかに狙われるんだよ」

「……ぼーっととか、してない、……もん」

……確かに。
はきはきしてる葵ちゃんと比べたら、ぼーっとしてる……かも。
なんでクラス委員に選ばれたのか、わかんないくらいだもん。

「まあ、そこが萌花の可愛いところのひとつでもあるけどねー」