ぎゅーっと抱きつくと、葵ちゃんの方からも抱きついてきた。
機嫌は直ったようだけど、明石くんにあっかんべーしちゃダメだよ?

「葵ちゃんにもクッキー作ってきたんだ。
はい、これ」

「わーい。
萌花のクッキー、美味しいもんねー。
杉本んちのより萌花のが好き」

早速、袋を開けてクッキーを食べ始めた葵ちゃん。
葵ちゃんはいつも、私の作るお菓子が一番おいしいって云ってくれる。

「明石ー、食べないなら私に頂戴?
そもそもおまえに萌花のクッキーはもったいないんだから」

「うるさいなー。
食べるに決まってるだろ。
……はい、宮野」

差し出されたクッキーに困惑した。

……えっと。
私に食べろと?

受け取ったクッキーを口に運ぼうとしたら止められた。

「違う違う。
あーん」